【 心の東京革命推進協議会(青少年育成協会)会長賞 】
「医療と卵」
氏名:笈川 紀男
私の住んで居た地域、以前は鶏を飼い卵を産ませ、御数に御馳走だった。蔬菜の切り落とし、焼き魚の骨、残った御飯を麬と混ぜ与え、鶏の飼育。楽しみだった、無駄もなかった。朝の卵かけ御飯、目玉焼き、親子丼の料理、どれも旨かった。・・・・・・母親が月に何度か、手間をかけて火鉢を利用し、ラジオを聞きながら、卵油を作っていた。急いて作っては駄目なんよと、よく理解出来なかった、「レシチン」と云う栄養素、薬のかわりになると、卵の黄身だけを、五・六個、使い古したフライパンで空炒りして作り始める。燻れた臭いが部屋中に・・・・・・胃腸の具合が悪い、風邪のひきはじめ、他、諸諸に小スプーンで油液を少量、服用する。我が家の総合保健薬でした。・・・・・・縁側に置かれ、蘭の植木鉢に利用されている火鉢を見ると、割烹着を付け、背を丸くして卵油を作っていた母親を思い出す。
いつも健康を願っていたのか。・・・・・・