【 社団法人全国学校栄養士協議会賞 】
「医療と卵」
氏名:遠藤 里志

近年、介護の業界において卵が注目されている。
それを実感したのは昨年、グループホームという利用者が全員認知症であり、共同で生活をする介護施設を訪れた時である。
認知症というのは記憶が少しずつなく家族のこと、自分自身のことさえ分からなくなる脳の病気である。施設では、利用者さんが介護職員と一緒に湯で卵の皮むきをしていた。利用者の多くが女性の高齢者である。
湯で卵には、現場医療とも言える認知症を遅らせる効果と記憶を呼び覚ます効果がある。
それは、湯で卵の皮むきは、手先を使う。この細かい手先を動かすことが脳に刺激を与え認知症を遅らせる効果がある。また、昔子供のお弁当を作った記憶などを呼び起こす効果がある。卵ほど大衆に周知され、そして誰もが知っているからこそ、認知症の方にも受け入れやすいことから、今後の介護現場でも現場的医療として活躍を期待したい。